ハラール基礎・認証
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ハラールとは?最短でわかる基本ガイド|非ムスリム向けにやさしく解説

この記事でわかること

  • ハラールの基本的な意味が3分でわかる
  • 認証の種類(輸出/観光、A〜Dタイプ)の違いを整理
  • 食品安全(HACCP)との関係も理解できる
  • 市場規模や実際の現場事例から、ビジネスでの必要性をイメージできる

世界的にイスラム人口は増え続け、2030年には全人口の約3割に達すると言われています。

同時に、日本でも訪日観光客の多様化や食品輸出の拡大が進み、「ハラール」という言葉を耳にする機会が増えてきました。

飲食店や食品メーカーではハラール対応が求められてきている会社も少なくありません。

でも実際に「ハラールって何?」「企業としてどう関わればいい?」と聞かれると、まだ答えにくい方も多いのではないでしょうか。

この記事では、非ムスリムの方でも最短で理解できるよう、ビジネスの視点から見たハラールの基本をまとめます。

ハラールってそもそも何?

ハラール(Halal)はアラビア語で「許されたもの」。一般的に、イスラム教徒にとって安心して口にできる食品や商品を指します。

たとえば豚肉やアルコールは「ハラーム(禁止されたもの)」に分類されます。重要なのは、食材だけでなく、生産・加工・製造・物流・表示まで含めて“ハラールかどうか”が判断されるという点です。

つまりハラールは、ムスリムの人にとって安心と信頼を証明する仕組みなのです。

ビジネスの鍵となる「ハラール認証」

企業が「この商品はハラールです」と証明する方法が「ハラール認証」です。第三者機関の審査を経て認証を受けることで、国内外のムスリムに信頼を示せます。

  • 食品メーカーにとっては輸出のパスポート
  • 観光・外食業にとってはムスリム対応の証拠

認証の種類は大きく2つ

  • アウトバウンド向け(輸出用):輸出国の基準に従い、相互認証が必要
  • インバウンド向け(観光用):国内基準で、飲食店や宿泊施設の「ノーポーク・ノーアルコール対応」などが中心

ターゲットとなる市場が国内か海外かによって、必要な認証は変わります。

「どこでも通じる認証」は存在しない

世界共通のハラール認証は存在しません。ただし、輸出先の国と相互認証を持つ国内団体から認証を受ければ、その国でもハラール認証として通用します。

主要国(中東、マレーシア、インドネシアなど)との提携を確認することが、輸出成功のカギです。

日本国内の認証タイプ

  • A. オーソライズド・ハラール認証(国際相互認証団体)
    輸出関連事業全般、食肉加工・流通、化粧品・医薬品・食品、飲食店や宿泊施設など幅広い分野で利用
  • B. ローカル認証
    国内流通を目的とした食品・化粧品・日用品の製造業や飲食店、宿泊施設が対象
  • C. モスク認証/プライベート認証
    在日ムスリムの事業全般に活用。ただし正式な認証を必要とする事業は除外
  • D. ムスリム・フレンドリー/ムスリム・ウェルカム(認証なし)
    観光庁基準に基づき、ノーポーク・ノーアルコール対応を情報開示型で行うスタイル

ハラールは食品安全ともつながっている

ハラール認証は宗教上のルールを満たすだけでは十分ではありません。実際には HACCPなどの食品衛生管理基準 も満たすことが求められます。

つまり、ハラール認証は「宗教+食品安全」の二重の信頼マーク。消費者に安心感を与えるだけでなく、ビジネスパートナーとの取引条件にもなり得ます。

日本食の海外市場は拡大中

  • 2024年の訪日外国人旅行消費額は8兆円超(観光庁速報)
  • 農林水産省は「食」関連消費を2030年に3倍(4.5兆円)へ引き上げる目標を発表
  • 和牛や調味料など、日本発のハラール商品は東南アジア・中東で人気が拡大

国内需要が縮小するなか、ハラール対応は「海外展開の武器」として注目されています。

ハラールをめぐる3つの体験

例①:インバウンド飲食店のケース

先日、都内の居酒屋でアルバイトをしている友人から「ムスリムのお客様が来て、唐揚げを頼まれたけど鶏肉がハラール対応か分からなくて困った」という話を聞きました。専門知識がない現場では難しさがあることを物語っています。

例②:輸出現場のケース

「味や品質は評価されたのに、認証がないという理由だけで商談が進まなかった」――食品メーカーが東南アジアに調味料を輸出する際、認証を持っていなかったため契約不成立になった事例があります。それ以降、その企業では開発段階からハラールを意識するようになりました。

例③:旅行者の視点

以前クアラルンプール空港で、日本から持参したお菓子をイスラム教徒の知人に渡そうとしたところ、「ハラールかどうか分からないから食べられない」と断られた経験があります。日本では当たり前のお菓子も、国際的には“安心の証明”が必要なのだと実感しました。

まとめ

ハラールは、イスラム教徒のためのルールという枠を超え、日本のビジネスに直結するテーマになっています。

  • 「ハラール=許されたもの」は加工や物流、表示まで含めた“安心の証明”
  • 認証は食品メーカーにとっては輸出のパスポート、外食・観光業にとっては信頼の証拠
  • 日本国内ではA〜Dの認証タイプが使い分けられている
  • ハラール認証はHACCPなど食品安全とセットで「宗教+食品安全」の二重の信頼マーク
  • 市場は拡大中。訪日消費は2024年に8兆円超、農水省は2030年に食関連4.5兆円を目標

現場の具体例でも、居酒屋での唐揚げ対応や輸出契約の不成立、旅行者が日本のお菓子を食べられない場面など、ハラール対応の有無がチャンスや信頼を左右しています。

だからこそ、「自社にとってどんなハラール対応が必要か」を考えることが、これからの市場参入への第一歩です。

高橋 敏也
監修者
高橋 敏也
メイドインジャパン・ハラール支援協議会 / 理事長

1980年武蔵大学卒。広告代理店・明通で営業・開発に従事後、フリーランスとして広告・メディア・IT分野で活動。2014年に一般社団法人メイドインジャパン・ハラール支援協議会を設立し、日本のムスリム対応を推進。近年はベジタリアンやヴィーガンなど「ユニバーサルフード」対応を提唱。農水省・観光庁・自治体の委員や専門家として多様な食文化と観光の架け橋として活動中。

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