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【インタビュー】ハラール認証後、店舗売上1.7倍に。Hangry Joe’s Tokyo 唐遥氏に聞く、飲食店のハラール対応

【インタビュー】ハラール認証後、店舗売上1.7倍に。Hangry Joe’s Tokyo 唐遥氏に聞く、飲食店のハラール対応

この記事でわかること

  • ムスリムフレンドリーではなく、認証取得まで踏み込んだ理由
  • 全メニューを対象とした認証取得の進め方と、かかった準備期間・費用
  • 一番苦労したのは原材料の洗い出しと資料作成だったという実務
  • アルコール提供を続けながら、ムスリムのお客様に対応するための工夫

地上波でも話題。バンズから大きくはみ出すほどのチキンを挟んだチキンバーガーを提供する、米国発のホットチキンバーガー「Hangry Joe’s」が秋葉原に日本1号店をオープンしたのは2024年8月のこと。その後、池袋、横浜中華街、名古屋と店舗を拡大しているのが、ハングリィジョーズホットチキンジャパン株式会社 代表の唐 遥さんです。

順調に事業を拡大しているように見える一方で、日本1号店である秋葉原本店のオープン景気は長く続かず、資金繰りも苦しい時期があったそうです。転機は、店の近くのモスクに向かうムスリムの人々。チキンをハラール認証品に切り替え、2025年11月には全メニューをハラール対応にする「オールフード・ハラール認証」を取得。そこから店舗の売上はハラール認証取得前の1.7倍に増加。ムスリムのお客様も半数以上とのこと。

「ハラールはムスリムのための対応ではなく、誰もが同じテーブルを囲むための選択肢」と語る、ハングリィジョーズホットチキンジャパン株式会社 代表の唐 遥さんに、ハラール対応の実際、メニュー開発と食材調達で直面した課題、そしてこれから取り組む飲食店・ホテルへのアドバイスを伺いました。

Hangry Joe’s Tokyoとは

アメリカで約100店舗を展開するホットチキンブランド「Hangry Joe’s Hot Chicken」を、日本に合わせてローカライズしたチキンバーガー専門店です。日本では「はみ出る旨辛バーガー」を掲げています。厚みのある鶏むね肉を特製ダレに漬け込んで2〜3日熟成させ、ハバネロやゴーストペッパーなど10種類のスパイスとハングリィソースを絡める。本場の味を再現するために、調味料からソースまで米国本社と同じものを使っています。

「Hangry」は、Hungry(お腹が空いた)とAngry(怒っている)を掛け合わせた言葉です。お腹が空きすぎて、ちょっとイライラするくらい夢中になる。そんなバーガーを、アメリカから日本へ持ってきました。

2024年8月に秋葉原に日本1号店を開き、2026年5月に池袋、9月に横浜中華街へ出店。10月19日に名古屋・大須に初のフランチャイズ店をオープンしました。

秋葉原に第1号店をオープンしてから、ハラール対応に踏み切るまで

秋葉原にオープンしたときは、「アメリカで人気のブランドだから、日本でもきっと受け入れてもらえる」という気持ちでした。でも、オープン景気は長くは続きませんでした。売上は少しずつ下がり、キャッシュも厳しくなっていきました。自分の給料を止めても、従業員への給料は何とか払い続ける。いろいろ試しても、なかなかうまくいかない。「このまま続けられるのかな」と思ったこともあります。

転機は、店の近くにあるモスク。店の前でチラシを配っていると、ムスリムの方々が近くを歩いているのが目に入りました。「この人たちにも、ハングリィジョーズを食べてもらえたらいいのに」——だったら、チキンをハラール認証のものにしてみよう。そこから始まりました。

チキンをハラールにすると、少しずつムスリムのお客様が来てくれるようになりました。世界には約20億人のムスリムの方がいて、日本にも約42万人が暮らし(日本のムスリム人口 2026 年)、訪日ムスリム旅行者も年々増えています。秋葉原だけの話ではなく、日本だけの話でもない。そう考えるようになって、ハラール対応は単なるメニュー変更ではなく、僕たちのブランドそのものを考え直すきっかけになりました。

すべてハラールですか?

チキンをハラール食材に切り替えたところ、多くのムスリムのお客様にご来店いただけるようになりました。一方で、お客様から「食材だけでなく、すべてハラールですか?」と質問される機会も増えていきました。

そのたびに、当店はムスリムフレンドリーなお店であると説明していましたが、説明を聞いても表情が曇るお客様もいらっしゃいました。また、当店がハラール認証を取得していると思い、認証の有無を知らないまま召し上がっていたお客様もいらっしゃったのではないかと思います。

その状況に、私自身、どこか後ろめたさを感じていました。これでは中途半端であり、お客様が完全に安心して食事できる環境を作れてないなと。

そこで、店舗全体としてきちんとハラールに取り組み、第三者の認証を取得しようと決断しました。

認証取得は、単にムスリムのお客様を増やすためだけのものではありません。宗教や文化の違いにかかわらず、世界中のお客様が安心して食事を楽しめるお店へと変革していきたい。その思いが、決断の大きな原動力になりました。

ムスリムフレンドリーに留まらず、ハラール認証を取得すると決めた理由

ハラール食材を使用するだけにとどめる選択肢もありましたが、最終的には、それでは不十分だと考えました。

実際にムスリムのお客様と接するなかで、食材がハラールであることだけでなく、店舗全体としてハラールに対応しているかどうかを気にされていることを実感しました。

ムスリムフレンドリーであると説明しても、お客様が本当に安心して食事を楽しめていなければ、私たちが目指すお店とはいえません。

だからこそ、曖昧な対応を続けるのではなく、必要な体制を整え、認証という客観的な基準を満たすことが重要だと考えました。お客様に安心して選んでいただけるお店にするためにも、認証取得は必要な決断だったと思っています。

米国本社からは、日本での事業運営について基本的に任せてもらっているため、認証取得にあたって大きな反対はありませんでした。

一方、現場のスタッフにとっては、想定以上に大きな変化だったと思います。ハラール対応を進めるなかで海外のお客様が増え、接客や店舗運営においても、これまでとは異なる対応が求められるようになりました。

今回の認証取得は、経営として必要だと判断し、トップダウンで決断したものです。こうした変革は、経営が方向性を明確に示し、主導していく必要があると考えました。

ただ、実際に現場で対応していくのは従業員の皆さんです。スタッフ同士で協力しながら、接客や店舗運営にさまざまな工夫を重ね、少しずつ新しい環境に適応してくれました。

特に印象に残っているのが、以前は英語が話せなかった従業員が、英語で電話対応をしていたことです。それを見たときは、正直、腰が抜けました(笑)。人は環境が変わることで、こんなにも成長するのかと驚かされました。

経営として決断することと、現場がそれを形にすることは別です。今回の変革を実現できたのは、従業員一人ひとりが柔軟に適応し、努力してくれたからこそだと思っています。本当に感謝しています。

ハラール認証の取得はどのように進めたか

約4か月の準備期間を経て、2025年11月1日付で、一般社団法人ジャパン・ハラール・ファンデーションから「オールフード・ハラール認証」を取得しました。食材の仕入れから管理、調理に至るまで、すべての工程を見直しています。

一般社団法人メイドインジャパン・ハラール支援協議会の高橋敏也理事長と、ご紹介を通じて出会ったことがきっかけです。高橋さんにはハラール認証取得に向けてさまざまなご支援をいただき、認証取得を進めることになりました。

実は、私の前職はサントリーなのですが、話をしていくなかで、高橋さんがサントリー時代の同期のお父様だということがわかりました。思いがけないご縁に、運命的なものを感じたことを覚えています。

認証機関についても、高橋さんから推薦いただいた機関にお願いすることにしました。初めての取り組みだったこともあり、ハラールについて知見のある方に支援いただきながら、適切な形で認証取得を進められたことは、大変心強かったです。

2025年6月中旬に高橋さんと出会い、そこから検討を始め、同年11月にハラール認証を取得しました。実際の準備には約4か月をかけています。

具体的には、店舗で使用している原材料の洗い出しから始まり、必要な原材料の切り替え、メニューの見直し、認証取得に必要な資料の作成、監査などを進めていきました。

費用は、認証取得に関する費用に加え、従業員向けのハラールセミナーなども含めて数十万円でした。

私たちにとって、ハラール対応は初めての取り組みでしたが、単に認証を取得するだけでなく、従業員も正しく理解し、店舗全体で対応できる体制をつくることを大切にしました。

ハラール認証取得で一番苦労したポイント

いちばん苦労したのは、認証取得に必要な資料の作成です。

店舗で使用している原材料を一つひとつ洗い出し、それぞれについて必要な資料をそろえる必要がありました。仕入先から規格書などの書類を取り寄せたり、ハラールの基準に適合しない原材料を別のものに切り替えたりと、想像していた以上に膨大な作業がありました。

普段の店舗運営を続けながら、これらの作業を並行して進めるのは、決して簡単ではありませんでした。

ただ、こうした工程を一つずつ進めたことで、普段何気なく使っている食材や原材料についても、改めて確認する機会になりました。認証取得は大変な作業でしたが、店舗の仕組みを見直し、より多くのお客様に安心して食事を楽しんでいただくための重要なプロセスだったと感じています。

全てのメニューをハラール対応へ

私たちが目指しているのは、ムスリムのお客様だけを対象としたお店ではなく、宗教や文化、国籍にかかわらず、世界中の方々に食事を楽しんでいただけるお店です。

そのため、一部のメニューだけをハラール対応にするのではなく、すべてのメニューをハラール対応とすることにしました。お客様がメニューを選ぶ際に制約を感じることなく、誰もが同じように食事を楽しめる環境をつくりたいと考えたからです。

一方で、さまざまなお客様に楽しんでいただくため、アルコールの提供は継続しています。ただし、ムスリムのお客様にも安心してご利用いただけるよう、アルコール用とソフトドリンク用のグラスを分け、保管場所も別にするなど、取り扱いには配慮しています。

アルコールについて気にされるムスリムのお客様もまれにいらっしゃいますが、基本的には、お店のコンセプトをご理解いただいていると感じています。

私たちが大切にしているのは、誰かに合わせるために誰かを排除するのではなく、それぞれの違いを尊重しながら、できる限り多くの方が一緒に食事を楽しめる場所をつくることです。ハラール対応を通じて、そんなお店を目指しています。

ハラール対応でどのような変化があったか

大きな発見は、「ハラールにしたからといってムスリムのお客様だけが来るわけではない」ということでした。日本人のお客様も、アメリカやヨーロッパ、アジアから来たお客様も、普通にハングリィジョーズを食べてくれる。「ハラールだから食べる人」と「ハラールだからではなく、単純にハングリィジョーズが好きで食べる人」。その両方が、同じ店にいる。

だから僕は、ハラールを「ムスリムの方のための対応」として考えるのではなく、もっと大きな可能性として考えるようになりました。国籍や宗教に関係なく、誰もが同じものを楽しめる。もしかすると、これこそが日本でハングリィジョーズを展開する意味なのかもしれない、と。

今後の展開について

「食の熱量とカルチャーで、国境や宗教の壁を取り除く」——これが僕たちのブランドミッションです。食べることには、人と人との距離を縮める力がある。ハングリィジョーズを、単なるチキンバーガーの店ではなく、いろいろな人が交わる場所にしていきたい。

日本からアジアへ。アジアNo.1のハラールチキンバーガーブランドを目指し、2040年までに国内100店舗、アジア全体で1,000店舗という目標を掲げています。来年からは、出店のスピードをさらに上げていきます。

店名 Hangry Joe’s Tokyo(ハングリィジョーズトーキョー)
運営 ハングリィジョーズホットチキンジャパン株式会社
店舗
  • 秋葉原本店(2024年8月)
  • 池袋店(2026年5月)
  • 横浜中華街店(2026年9月8日)
  • 名古屋・大須店(2026年10月19日)
ハラール認証

一般社団法人ジャパン・ハラール・ファンデーション「オールフード・ハラール」

※HALAL ICHIBAでは認証取得もご支援しています。こちらからご確認ください。

ハラール認証範囲 全メニューで豚肉・豚由来原料、アルコールを含む調味料を不使用。鶏肉・牛肉はハラール認証品。飲料としてのアルコールは提供
公式サイト(WEB) hangryjoestokyo.com
Instagram @hangryjoes_tokyo
HALALICHIBAご利用商品

※ 一部店舗にてご利用いただいております。


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