マレーシア・インドネシア・中東……。あなたのお店の近くに、こうした国からの旅行者が増えていることに気づいていますか? 2025年1月、マレーシアからの訪日客は前年同月比133.8%増、中東地域は102.2%増と急増しています。その多くがムスリム旅行者です。そして彼らが最初に確認することは「食べられる店があるかどうか」です。
数字で見る「急増」の実態
まず現状を数字で把握しましょう。ムスリム旅行市場のスケールは、多くの飲食店オーナーが想像するより、はるかに大きくなっています。
海外旅行者数
(2023→2024年)
(市場はさらに拡大)
日本への流入も顕著です。東南アジアや中東からの訪日旅行者が増加しており、中でもマレーシアとインドネシアはムスリム比率が非常に高く、全般的にムスリム比率が高い中東諸国からの訪日は今後も伸長が期待されています。 (出典:観光庁)
つまりこれは、一時的なブームではありません。構造的・長期的な市場の拡大です。
「うちには関係ない」は本当か
「うちは観光地じゃないから」「客層が違う」——そう思っているオーナーほど、気づかないうちに機会を失っています。ムスリム旅行者の行動パターンを見ると、実はあらゆる業態に影響が及んでいることがわかります。
ムスリム旅行者の行動特性
- 食べられる店を事前にリストアップして来日する。SNS・専用アプリ・口コミが情報源
- 家族・グループで来訪することが多く、1人が食べられない店にはグループ全員が行かない
- リピート率が高く、一度「安心できる店」と認識されると繰り返し来店・SNSで紹介してくれる
- 消費意欲が高く、訪日外国人一人あたり平均旅行支出22.7万円(2024年)の中でも飲食への支出比率が大きい
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」2024年 / GMTI 2025
あなたのお店、チェックリスト
以下の項目で、現在の対応状況を確認してみてください。
ハラール対応チェックリスト
【食材・調理】
- 使用食材に豚由来成分(ラード・ゼラチン・乳化剤など)が含まれていないか把握している
- 調味料(醤油・みりん・料理酒)のアルコール含有量を確認している
- 豚肉・アルコール不使用のメニューが1品以上ある
【表示・情報発信】
- 「Pork-free」「Alcohol-free」などの表示がメニューや店頭にある
- Googleマップのお店情報にハラール対応を記載している
- SNSや自社サイトでハラール対応を発信している
【環境・接客】
- 礼拝スペース、または近くの礼拝場所を案内できる
- スタッフがハラールについて基本的な説明ができる
いくつ「できている」がありましたか? 0〜2個なら、競合に先んじて動くチャンスです。逆に5個以上できているなら、それを積極的に発信する段階に入っています。
大切なのは「完璧に対応してから発信」ではなく、「できることから始めて、できていることを伝える」こと。まず1品ハラール対応メニューを作り、それをSNSで発信するだけでも、ムスリム旅行者のアンテナに引っかかるようになります。
今動く店と、後から追う店の差
ムスリム旅行者はSNSやコミュニティを通じて情報を共有します。一度「あの店は対応している」という口コミが広がると、次の旅行者も、その次の旅行者もその店を目指してやってきます。これが先行者の強みです。
一方、後から対応した店は、すでにできあがった競合の口コミと戦わなければなりません。
ムスリム旅行者市場は「急増中」の今がまさに参入のベストタイミング。対応する店がまだ少ない今だからこそ、一歩踏み出すことが大きな差になります。
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※ 本記事に記載の統計データは各出典時点のものです。最新情報は各機関の公式発表をご確認ください。
出典:Global Muslim Travel Index(GMTI)2025 / 日本政府観光局(JNTO)2025年1月訪日外客統計 / 観光庁「訪日外国人消費動向調査」2024年